学費・お金

通信制高校の学費はいくら?公立と私立の総額を2026年度の支給額で試算

通信制高校の学費はいくらかかるかを示したアイキャッチ画像

通信制高校の学費を調べていると、金額の幅が大きくて戸惑うことがあります。年間で数万円と書かれている記事もあれば、100万円近い数字を挙げている記事もあります。どちらも間違いではありません。公立か私立か、授業料の計算方式が単位制か定額制か、サポート校を併用するかどうかで、総額が大きく変わるためです。

この記事では、文部科学省が公表している資料をもとに、通信制高校の学費の仕組みを順に整理します。2026年度(令和8年度)から就学支援金の制度が変わったため、古い数字のまま書かれた情報も少なくありません。ここでは新制度の資料で確認した数字だけを使います。

通信制高校まなびナビ 編集部 各学校が公表する募集要項・学校案内・公式サイトと、文部科学省など公的機関の資料をもとに、通信制高校の学費・就学支援金・進路を調査し執筆しています。掲載内容には情報基準日を明記しています。

通信制高校の学費の仕組みは全日制と違う

まず押さえておきたいのは、通信制高校の授業料が全日制と違う決まり方をしている点です。全日制のように「年間いくら」と一律で決まっている学校ばかりではありません。

授業料には単位制と定額制の2つの方式がある

通信制高校の授業料の計算方式は、大きく2つに分かれます。ひとつは履修した単位数に応じて金額が決まる単位制で、もうひとつは単位数にかかわらず月額が決まっている定額制です。文部科学省の資料でも、就学支援金の支給限度額が定額授業料の場合と単位制授業料の場合に分けて示されています。

通信制高校の授業料に単位制と定額制の2方式があることを示した図

どちらの方式を採用しているかは学校によって違います。募集要項を見るときは、まずこの方式を確認してください。

履修する単位数によって総額が変わる

単位制の学校では、その年に何単位を履修するかで授業料が動きます。多く取れば早く卒業に近づきますが、その分だけ年間の負担も増えるでしょう。逆に少なく取れば負担は軽くなり、卒業までの期間が延びる場合もあります。

高校の卒業には74単位以上の修得が必要とされています。3年で卒業するなら、単純計算で1年あたり25単位前後を履修することになるでしょう。

入学金や施設費は授業料とは別にかかる

授業料の話とは別に、入学金や施設費がかかります。ここを見落とすと、想定していた総額と実際の請求額がずれます。後述するとおり、就学支援金の対象になるのは授業料だけです。

公立と私立の学費はいくら違うか

次に、公立と私立でどのくらい差があるのかを見ていきます。ここは支援制度の話と混ざりやすいところなので、まず学校に支払う金額そのものから整理します。

公立通信制の授業料は年間で数万円におさまる

公立の通信制課程は、もともと授業料の水準が低く設定されています。文部科学省の資料では、公立通信制に対する就学支援金の支給限度額が年額6,240円とされています。支援の上限がこの水準に置かれていることからも、公立の授業料が低く抑えられていることが読み取れるでしょう。

都道府県ごとの1単位の授業料や、教科書代を含めた1年間の費用の例は、公立の通信制高校の学費の記事で13都道府県分を比べています。

私立通信制の授業料は学校ごとの幅が大きい

私立は学校ごとの差が大きい部分です。週1日の通学から週5日の通学まで、コースの設計によって金額が変わります。同じ学校でも、選ぶコースによって年間の授業料が倍以上違うことも珍しくありません。

金額を調べるときは、学校の公式サイトに掲載されている募集要項を見てください。案内ページの目立つ位置に書かれた金額は、最も安いコースのものである場合があります。学校ごとの1単位の授業料や3年間の総額は、学費が安い通信制高校の記事で比べています。

3年間の総額で比べると差がはっきりする

1年あたりの金額では小さく見える差も、3年分を足すと印象が変わります。授業料に加えて入学金や施設費、教材費が積み上がるためです。比較するときは必ず総額で並べてください。

なお、私立でも就学支援金が適用されると、実際の負担額は表示価格より下がります。次の章でその仕組みを見ていきます。

学校ごとの学費を比べてみる

公立と私立、コースの違いで総額は大きく変わります。気になる学校の募集要項を取り寄せて、授業料の方式と初年度の費用を並べて確認してみてください。

2026年度に変わった就学支援金

2026年度は、高校の学費を考えるうえで区切りになる年です。就学支援金の制度が改正され、対象になる世帯の範囲が広がりました。

所得制限が撤廃されて世帯年収で区別されなくなった

改正法は令和8年3月31日に成立し、4月1日から施行されています。文部科学省の資料には、新制度の所得制限は「なし」と明記されています。従来は世帯年収590万円未満、910万円未満といった区分がありましたが、新制度ではこの区分がなくなりました。

制度の規模も大きく変わっています。令和8年度の予算額は5,824億円で、前年度の4,074億円から増えました。国と都道府県の負担割合も見直され、公私立については国が4分の3、都道府県が4分の1を負担する形になっています。

私立通信制の上限は全日制より12万円低い

ここが最も誤解されやすい部分です。報道などで見かける「45万7,200円」という数字は、私立の全日制に対する支給限度額です。文部科学省の資料には、私立の通信制課程に通う生徒の支給上限額は33万7,200円と注記されています。

私立全日制457200円と私立通信制337200円の差を示した図

差額は12万円です。通信制を検討している場合、全日制向けの数字をそのまま当てはめると、受け取れる金額を多く見積もることになります。

公立通信制の6,240円は据え置きのまま

もうひとつ注意したいのが公立です。旧制度と新制度の支給限度額を並べると、公立通信制はどちらも6,240円で、金額が動いていません。2026年度の改正で拡充されたのは私立であり、公立通信制は変わっていません。

「2026年度に支援が手厚くなった」という説明は、公立通信制については当てはまらないと理解しておいてください。

支給期間は通信制のほうが長い

意外と知られていないのが支給期間です。文部科学省の資料では、全日制の支給期間が36月とされているのに対し、通信制の支給期間は48月と定められています。4年分が支給の対象になる計算です。

3年で卒業する場合は36月ぶんの利用にとどまりますが、在籍が延びたときに支援が続く点は、通信制を選ぶうえでの安心材料になるでしょう。

単位制と定額制で計算方法が違う

ここからは、就学支援金が実際にいくら充てられるのかを見ていきます。単位制と定額制で計算の仕方が違うため、分けて説明します。

定額制は月28,100円が上限になる

私立通信制で定額授業料の方式を採る場合、支給限度額は月額28,100円とされています。これを12か月分にすると33万7,200円になり、先ほどの年額と一致します。

単位制は1単位13,668円が上限になる

単位制の場合、支給限度額は1単位あたり13,668円です。資料には、通算74単位、年間30単位までという条件も併記されています。3年間で単位をどう配分するかの計算例は、通信制高校の就学支援金の記事で紹介しています。

1単位の授業料が13668円を超えると差額が自己負担になることを示した図

1単位13,668円を超える学校では差額が残る

ここがこの記事で最も伝えたい点です。学校が設定している1単位あたりの授業料が13,668円以下であれば、授業料に対する自己負担は生じません。一方で1単位の授業料が13,668円を超える学校では、超えた分が自己負担として残ります。

たとえば1単位16,000円の学校であれば、差額は1単位あたり2,332円です。年間30単位を履修すると6万9,960円になります。同じ「支援の対象」であっても、学校によって手元から出ていく金額が変わるということです。

年間の上限額の扱いは学校か都道府県に確認する

ひとつ、資料だけでは読み切れない点があります。年額の支給限度額として33万7,200円が示される一方、単位制については1単位13,668円と年間30単位という条件が示されています。この2つをどう組み合わせて適用するかは資料に明記がありません。

単位数を多く履修する予定がある場合は、在籍予定の学校か、お住まいの都道府県の担当窓口に確認してください。ここを曖昧にしたまま総額を計算すると、見込みが狂う可能性があります。

1単位あたりの授業料を確認する

実質的な負担が残るかどうかは、1単位の授業料が13,668円を超えるかで決まります。検討中の学校の単価を調べて、自分の履修計画で計算してみてください。

サポート校の費用は支援の対象外

通信制高校の学費が分かりにくくなる大きな原因が、サポート校の存在です。ここを分けて考えられるかどうかで、総額の見え方が変わります。

通信制高校とサポート校は別の存在である

通信制高校は高等学校であり、卒業すれば高校卒業の資格が得られます。一方のサポート校は、通信制高校に在籍する生徒の学習を支援する民間の施設です。サポート校に通うだけでは高校卒業の資格にはつながりません。

通信制高校の学費は支援金の対象でサポート校の費用は対象外であることを示した図

サポート校の費用には就学支援金が使えない

就学支援金は高等学校等の授業料に充てるための制度です。サポート校に支払う費用は対象外で、全額が自己負担になります。ここを見落とすと、実際の支出が想定を大きく超えます。

費用が一体で案内されると総額が見えにくくなる

通信制高校とサポート校が一体で運営されている場合、案内の資料でも費用がまとめて提示されることがあります。その形だと、どこまでが支援の対象なのかが分かりません。

見積もりを受け取ったら、通信制高校に支払う分とサポート校に支払う分を分けて示してもらってください。金額の内訳が分かれば、支援を差し引いた実質的な負担も計算できます。

授業料以外にかかる費用

就学支援金が充てられるのは授業料だけです。卒業までにかかる費用には、支援の対象にならないものが複数あります。

入学金と施設費は初年度にまとまってかかる

入学金は入学時の1回だけですが、施設費は毎年かかる学校もあります。初年度は入学金と授業料が重なるため、支出が最も大きくなりやすい年です。

卒業までの費用が就学支援金の対象と対象外に分かれることを示した図

教材費やタブレット代がかかる場合がある

教科書や学習教材の費用に加えて、オンライン学習に使う端末の代金が必要な学校もあります。端末を貸与する学校もあるため、この点も募集要項で確認しておきたいところです。

スクーリングの費用と交通費を見込んでおく

通信制高校では、決められた回数のスクーリングに出席する必要があります。会場が遠方にある場合は交通費や宿泊費がかかり、集中スクーリングの形式だとまとまった金額になることもあるでしょう。

授業料以外の費用には別の支援制度がある

教科書費や教材費など授業料以外の教育費については、高校生等奨学給付金という制度が用意されています。返還が不要な給付金で、保護者が都道府県または学校に申し込む形です。手続きの時期は都道府県ごとに異なるため、学校からの案内を確認してください。

卒業までの総額は内訳で確認する

卒業までにかかる金額は、授業料と、対象外の費用を足したものです。授業料だけを見て判断すると、実際の負担を小さく見積もることになります。

授業料以外を含めた見積もりを取る

入学金や施設費、スクーリングの交通費まで含めないと総額は見えません。サポート校を使う場合は、その費用を分けて示してもらうよう伝えてください。

通信制高校の学費に関するよくある質問

最後に、学費について寄せられることの多い疑問をまとめます。

学費が払えないときはどうすればよいですか

まずは在籍している学校、または進学を検討している学校の窓口に相談してください。分割納入に応じる学校もあります。あわせて、高校生等奨学給付金や、お住まいの自治体の奨学金制度が使えないかを確認するとよいでしょう。

就学支援金の申請はいつ行いますか

申請には手続きが必要で、学校を通じて案内があります。文部科学省はオンライン申請システムを用意しており、入学時と在学中で手順が異なります。案内が届いたら、期限に間に合うよう準備してください。

転入や編入をした場合の学費はどうなりますか

すでに修得した単位は引き継げる場合が多く、その分だけ新たに履修する単位数が減ります。単位制の学校であれば、履修する単位が減れば授業料も下がる計算です。個別の扱いは学校ごとに違うため、転入前に確認しておいてください。

奨学金や自治体の支援制度は併用できますか

就学支援金は授業料に充てる制度で、奨学給付金は授業料以外の費用を対象とした制度です。役割が違うため、両方の要件を満たせば併せて利用できます。自治体が独自に実施している奨学金もあるので、お住まいの地域の制度も調べてみてください。

3年で卒業できなかった場合の学費はどうなりますか

在籍が延びれば、その分の授業料がかかります。ただし通信制の支給期間は48月と定められているため、4年目も支援を受けられる可能性があります。この点は全日制の36月との違いです。

まとめ

通信制高校の学費は、いくつかの要素に分けて考えると見通しが立ちます。授業料の計算方式、公立か私立か、就学支援金がいくら充てられるか、そしてサポート校を使うかどうかです。

2026年度の改正で所得制限は撤廃されましたが、私立通信制の支給上限は33万7,200円で全日制より12万円低く、公立通信制の6,240円は据え置かれています。単位制では1単位13,668円を超える分が自己負担として残ります。ここまで押さえたうえで、気になる学校の募集要項を取り寄せて、総額を自分の条件で計算してみてください。