公立の通信制高校は、授業料が1単位あたり数百円と安く、学費の負担を最も抑えられる選択肢です。実際に1年間でかかるのは、教科書代や生徒会費などを合わせて2万〜7万円ほどです。
この記事の要点
- 公立の通信制高校の授業料は1単位175〜350円で、確認した13都道府県のうち11都府県は就学支援金の上限(1単位336円)以内です。
- 学校が公表している1年間の費用の例は、教科書代などを含めて2万〜7万円ほどです。7万円近くかかるのは、端末代(3万円程度)が要る学校の1年目です。
- 3年で卒業する場合の総額は6万〜18万円ほどで、私立のネットコース(3年で約20万〜31万円の例)より安く収まることが多いです。
- 出願できるのは、原則としてその都道府県に住んでいるか勤めている人です。入学は4月が基本で、秋に入学できる県もあります。
- 非課税世帯なら、高校生等奨学給付金(国公立の通信制で年5万500円)で授業料以外の費用を補えます。2026年度からは年収490万円未満の世帯まで対象が広がりました。
情報基準日:2026年10月13日。各都道府県の条例・授業料のページ、県立学校の入学案内、文部科学省の資料で確認した金額だけを使っています。学校ごとの費用の目安は、各校が公表している年度のものです。
公立の通信制高校の学費は年2万〜7万円が目安
公立の通信制高校で1年間にかかる費用は、学校が公表している例で2万〜7万円ほどです。授業料は就学支援金でほぼまかなえるため、残るのは教科書代や諸会費が中心です。
授業料は1単位175〜350円
公立の通信制高校の授業料は、都道府県の条例などで1単位ごとに決まっています。確認した13都道府県では、京都府の175円が最も安く、神奈川県の350円が最も高い額でした。入学料は500円前後で、神奈川県のようにかからないところもあります。
兵庫県の310円は、県の修学支援制度のガイドブックに県立学校の通信制の額として載っている数字で、静岡県は令和6年度の県の資料の額です。東京都の受検料(入学考査料)950円は都立の通信制の学校案内に載っている額です。表の「記載なし」は、確認した公式の資料に金額が見当たらなかったことを示しています。
授業料は就学支援金でほぼまかなえる
公立の通信制高校の就学支援金は、1単位336円が上限です。表の13都道府県のうち、北海道(340円)と神奈川県(350円)以外の11都府県は上限以内なので、支援の対象になる単位の授業料は全額が就学支援金でまかなわれます。北海道と神奈川県では、上限を超える1単位あたり4円・14円の扱いを学校の案内で確かめてください。神奈川県で平日登校の講座を履修する場合は1単位700円なので、上限を364円超えます。
就学支援金は申請しないと支給されません。入学すると学校から案内が届くので、期日までに手続きをしましょう。
授業料以外は教科書代と諸会費が中心
授業料のほかには、教科書・学習書の代金と、生徒会費などの諸会費がかかります。学校が公表している1年間の費用の目安は次のとおりです。教科書代は履修する科目の数で変わり、年1万〜3万円ほどが目安として示されています。
表の金額には授業料(受講料)が含まれています。就学支援金を受けると、その分がさらに差し引かれる仕組みです。端末代を除くと、多くの学校は年2万〜5万円ほどに収まります。
端末代がかかる学校もある
学習にタブレットなどの端末を使う学校では、入学時に購入費がかかります。東京都立の一橋・新宿山吹・砂川の3校は、令和8年度の案内で端末代を3万円程度としています。端末が必要な学校では、1年目の負担が3万円ほど増える計算です。

卒業までの総額と私立との差
3年で卒業する場合、公立の通信制高校の総額は6万〜18万円ほどと見込めます。私立のネットコースと比べると、3年間で数万〜25万円ほど安くなる計算です。
3年で卒業するなら総額6万〜18万円ほど
端末代を除いた1年間の費用(2万〜5万円)を3倍すると6万〜15万円で、端末代3万円程度がかかる学校では総額が18万円ほどまで増えます。入学料や端末代は1年目だけにかかるため、2年目以降はもう少し安くなります。履修する単位が多い年は、教科書代も増えます。
私立のネットコースとの差は3年で数万〜25万円ほど
私立の通信制高校でも、1単位の授業料が1万3,668円以下なら授業料は就学支援金でまかなえます。ただし施設設備費やシステム利用料などがかかり、公式サイトで確認できた私立のネットコースでは、3年間の合計が約20万〜31万円でした。公立との差は、授業料ではなく授業料以外の費用から生まれます。

3年を超えて在籍すると費用も増える
通信制の課程の修業年限は3年以上で、自分のペースで4年以上かけて卒業する人もいます。在籍が延びると教科書代や諸会費もその分かかります。就学支援金の支給期間は通信制で48か月までで、対象は年30単位・通算74単位までです。それを超えた分の授業料は原則として自己負担ですが、都道府県の減免制度や学び直し支援金の対象になる場合があります。
私立のネットコースと費用を並べて比べる
公立だけで決める前に、登校日数の少ない私立のネットコースの資料も取り寄せ、3年間の授業料以外の費用を並べてみましょう。差額と、受けられるサポートの違いが見えてきます。
公立の通信制高校に入るための条件と時期
公立の通信制高校には、住んでいる地域の条件と、入学できる時期の決まりがあります。学費が安くても、自分が出願できる学校かどうかを先に確かめましょう。
住んでいるか勤めている都道府県の学校に出願する
公立の通信制高校に出願できるのは、原則としてその都道府県に住所か勤務先がある人です。東京都と神奈川県は住所か勤務先、福岡県は原則として県内に住んでいる人を対象にしています。愛知県のように、特別な事情があれば他県から出願できる場合もあります。

入学は4月が基本で、秋に入学できる県もある
新入学は4月が基本です。愛知県立旭陵高校は年度途中の入学ができず、4月入学だけと案内しています。一方で、千葉県や広島県は秋に入学できる選抜を行っています。大阪府立桃谷高校も、令和9年度から秋の入学者選抜を始める予定です。
出願は入学の前の年の冬から始まる
4月入学の出願は、多くが前の年の冬から春にかけて行われます。東京都の令和9年度の前期選抜は、インターネットでの入力が令和8年12月18日から令和9年2月4日までです。出願期間を過ぎると次の募集まで待つことになるため、志望校の募集要項は秋のうちに確かめておきましょう。

卒業までの学び方とかかる時間
公立の通信制高校は、レポートの提出とスクーリング、試験で単位を取っていきます。卒業には3年以上の在籍と74単位以上の修得が必要です。
卒業には3年以上の在籍と74単位以上が必要
学校教育法では、通信制の課程の修業年限は3年以上と定められています。高等学校学習指導要領では、卒業までに修得させる単位数は74単位以上とされ、特別活動にも卒業までに30単位時間以上参加する必要があります。

レポートとスクーリングの量は1単位ごとに決まっている
学習指導要領は、1単位あたりの添削指導(レポート)の回数と、面接指導(スクーリング)の時間の標準を教科ごとに定めています。国語や数学などは1単位あたりレポート3回・スクーリング1単位時間が標準です。
1単位時間は50分です。放送やインターネットを使った学習で、面接指導の一部が免除される仕組みもあります。
登校は年20日前後が目安
実際の登校日数は学校によって違います。北海道有朋高校の案内では、平均的な登校日数は年20日前後です。愛知県立旭陵高校の案内では、面接指導が年16日、試験が年4日で、ほかに学校行事が加わります。交通費は学費とは別にかかるので、通う日数と校舎までの距離も見ておきましょう。
自分のペースで続けられるかを確かめる
公立はレポートの提出やスクーリングの日程を自分で管理する場面が多くなります。不安があれば、学習の進み具合を見てくれる私立の学校の資料も取り寄せ、支え方の違いを比べておきましょう。
公立と私立のどちらを選ぶか
費用を最も抑えたいなら公立が有力です。ただし、公立の通信制高校に通う生徒は通信制全体の約2割で、多くの生徒は私立を選んでいます。費用と、必要な支え方の両方で比べましょう。
通信制の生徒の約8割は私立に在籍
文部科学省の資料によると、令和8年度(速報値)の通信制高校の生徒数は、公立が6万1,572人、私立が25万220人でした。公立は学費が安い一方、登校日や学習の進め方を自分で管理する力が求められます。
授業料以外の費用は奨学給付金で補える
住民税の所得割が非課税の世帯などは、高校生等奨学給付金を受けられます。2026年度の国公立の通信制の給付額は、非課税世帯で年5万500円、生活保護世帯で年3万2,300円です。端末代を除いた公立の1年間の費用(2万〜5万円ほど)と比べると、多くを給付金で補える額です。2026年度からは年収270万〜490万円未満の世帯も対象になり、国公立の通信制では年1万2,630円〜1万6,830円です(年収は4人世帯の目安)。
サポート校を併用すると公立でも費用は大きく増える
公立の通信制高校に通いながら、学習を手伝うサポート校を利用する人もいます。サポート校の費用は就学支援金の対象外で、全額が自己負担です。併用する場合は、サポート校の費用を別に見積もりましょう。
複数の学校の資料をまとめて取り寄せる
公立と私立のどちらにするか迷うときは、住んでいる地域から通える学校の資料をまとめて取り寄せると、学費・登校日数・サポートを一度に比べられます。
よくある質問
公立の通信制高校の学費について、よく聞かれる点をまとめました。
公立の通信制高校の学費は年間いくら?
学校が公表している例では、教科書代などを含めて年2万〜7万円ほどです。端末代がかからない学校なら2万〜5万円ほどです。授業料は就学支援金でほぼまかなえるため、残るのは教科書代や諸会費が中心です。
公立の通信制高校の授業料は無償になる?
多くの都道府県で、支援の対象になる単位の授業料は就学支援金でまかなわれます。ただし申請が必要で、教科書代などは自己負担です。北海道や神奈川県のように、1単位の授業料が上限の336円を少し超える県もあります。
他の都道府県の公立通信制高校に入れる?
原則として入れません。出願できるのは、その都道府県に住んでいるか勤めている人です。特別な事情があれば出願を認める県もあるため、志望校に問い合わせてみましょう。
入学試験はある?
選考の方法は都道府県や学校で違います。大阪府立桃谷高校は書類と個人面接で選考し、学力検査はありません。一方、東京都立の3校は国語・数学・英語を総合した学力検査を行い、神奈川県は作文を課しています。志望校の募集要項で確かめてください。
途中から入学できる?
学校によります。新入学は4月が基本ですが、千葉県や広島県のように秋に入学できる県もあります。他の高校からの転入学・編入学は、10月にも募集している学校があります。
何年で卒業できる?
最短3年です。修業年限は3年以上で、74単位以上の修得などが必要です。自分のペースで4年以上かけて卒業する人もいます。
学校に行くのは年に何日くらい?
学校によって違いますが、年20日前後を目安にしている学校があります。週1回程度の登校を案内している学校もあるため、志望校の案内で確かめてください。
公立と私立で卒業資格に違いはある?
ありません。公立も私立も、学校教育法にもとづく高等学校なので、卒業すると同じ高等学校の卒業資格が得られます。違いは学費や登校の形、サポートの内容です。
まとめ
公立の通信制高校の授業料は1単位175〜350円で、多くの都道府県では就学支援金でまかなえます。学校が示す1年間の費用は教科書代などを含めて2万〜7万円ほど(端末代を除くと2万〜5万円ほど)で、3年なら6万〜18万円ほどが目安です。
出願できるのは住んでいるか勤めている都道府県の学校で、入学の時期も決まっています。志望校の募集要項を早めに取り寄せ、出願期間と費用の内訳を確かめておきましょう。