学費・お金

通信制高校の学費が払えないときの5つの制度と申請手順【2026年度】

通信制高校の学費が払えないときに使える制度をまとめた記事のアイキャッチ

通信制高校の学費が払えないときに使える制度は、返さなくてよい給付から無利息の貸付まで複数あります。一人で抱え込まず、まず学校に相談することが大切です。

この記事の要点

  • 最初にするのは、学校への相談(分割納入や納入の猶予)と、就学支援金を申請しているかの確認です。
  • 2026年度から就学支援金の所得制限がなくなり、私立の通信制では授業料に年33万7,200円まで充てられます。
  • 授業料以外の費用には、高校生等奨学給付金(私立の通信制で年1万3,030円〜5万2,600円)を使えます。
  • 無利息で借りられる制度として、自治体の奨学金、生活福祉資金(高校は月3.5万円以内)、母子父子寡婦福祉資金があります。
  • 費用そのものを下げるなら、公立の通信制高校への転学や、登校日数の少ないコースへの変更も選択肢です。

情報基準日:2026年10月14日。文部科学省・こども家庭庁・厚生労働省・日本政策金融公庫・都道府県の公式資料で確認した金額だけを使っています。制度の内容は年度ごとに変わるため、申し込む前に窓口で確かめてください。

通信制高校まなびナビ 編集部 各学校が公表する募集要項・学校案内・公式サイトと、文部科学省など公的機関の資料をもとに、通信制高校の学費・就学支援金・進路を調査し執筆しています。掲載内容には情報基準日を明記しています。

学費が払えないとき最初にすること

支援制度を探す前に、学校への相談と就学支援金の確認を済ませましょう。この2つで、当面の支払いの見通しが立つことがあります。

学校に分割納入や納入の猶予を相談する

私立の通信制高校の中には、特別な事情があれば授業料の分割納入や免除を認めることがあると学則に定めている学校があります。文部科学省の就学支援金のリーフレットにも、経済的に困難な家庭は授業料の徴収の猶予などを利用できる場合があると書かれています。払えないと分かった時点で、早めに学校の事務室へ相談しましょう。

通信制高校の学費が払えないときに学校への相談から就学支援金の確認と給付と貸付の順に進める流れを示した図

就学支援金を申請しているか確かめる

就学支援金は、申請しないと支給されません。支給は原則として申し込んだ月から始まるため、申請が遅れると、原則としてその前の月の分は受け取れません。遅れそうなとき、遅れてしまったときは、すぐに学校か都道府県に相談しましょう。

滞納が続くと除籍になることがある

授業料を長く滞納すると、在籍を続けられなくなるおそれがあります。ある私立の通信制高校の学則では、正当な理由や手続きがないまま3か月以上滞納し、納める見込みがない場合は除籍できると定めています。別の学校の学則も、同じ条件で退学を命ずることがあるという内容です。払えない月が続きそうなら、滞納する前に相談することが大切です。

返さなくてよい国の支援は2つ

国の支援で返済が要らないのは、授業料に充てる就学支援金と、授業料以外の費用に使える奨学給付金です。2つは別の制度なので、それぞれ申し込みが必要です。

就学支援金は私立の通信制で年33万7,200円まで

2026年度(令和8年度)から就学支援金の所得制限がなくなり、日本国籍の生徒などは世帯の収入にかかわらず受けられるようになりました。私立の通信制では、授業料に年33万7,200円まで、単位制なら1単位1万3,668円まで充てられます。対象は授業料だけで、入学金や施設費、教材費は含まれません。

区分 定額の授業料 単位制の授業料
私立の通信制 月2万8,100円(年33万7,200円) 1単位1万3,668円
公立の通信制 月520円(年6,240円) 1単位336円

単位制の場合は、年30単位・通算74単位までが対象です。支給期間は通信制で48か月までです。

就学支援金は授業料に充てられ奨学給付金は教科書代など授業料以外の費用に使えることを比べた図

授業料以外の費用には高校生等奨学給付金を使う

高校生等奨学給付金は、教科書代や教材費など授業料以外の費用を支える給付金です。住民税が非課税の世帯などが対象で、2026年度からは年収490万円未満の世帯(4人世帯の目安)まで広がりました。私立の通信制なら、非課税世帯で年5万2,100円を受け取れます。

世帯の区分 国公立の通信制 私立の通信制
生活保護を受けている世帯 3万2,300円 5万2,600円
住民税が非課税の世帯 5万500円 5万2,100円
年収270万〜380万円未満の世帯 1万6,830円 1万7,370円
年収380万〜490万円未満の世帯 1万2,630円 1万3,030円

年収は4人世帯の目安で、実際の判定は住民税の所得割額で行います。

2026年度の高校生等奨学給付金の通信制の年額を世帯の区分ごとに国公立と私立で比べた図

給付金は保護者の住む都道府県に申し込む

奨学給付金は、保護者が住んでいる都道府県か学校を通じて申し込みます。手続きの開始時期は都道府県ごとに違います。たとえば滋賀県では、年額給付の申請は7月からです。新入生が4〜6月に一部を早く受け取れる仕組みもありますが、実施の状況は都道府県によって違います。

家計が急に苦しくなったときも対象になる

失業や病気などで家計が急に変わり、給付の対象の世帯にあてはまるようになった場合も、奨学給付金を受けられます。年度の途中でも申し込めるので、家計が変わったらすぐに窓口へ相談しましょう。7月1日までに申請すれば年額、7月2日以降は年額を月割りにした額が給付されます。

申請の時期と書類を学校に確かめる

就学支援金と奨学給付金は、申請の時期を逃すとその分を受け取れないことがあります。在学中の学校、またはこれから入る学校に、申請の時期と必要な書類を確かめておきましょう。

都道府県の補助も確かめる

都道府県によっては、国の支援に上乗せする補助や、入学金の補助があります。住んでいる都道府県と学校の所在地の両方の制度を確かめましょう。

東京都の通信制は国の上限と同じ33万7,200円まで

東京都の私立高等学校等授業料軽減助成金は、都が認可した通信制高校も対象です。ただし通信制では、国の就学支援金と合わせた上限が年33万7,200円で、国の上限と同じ額です。他県が認可した通信制高校に通う都内の生徒は、別の助成金の対象になり、こちらも国の支援と合わせて33万7,200円までです。国の支援で授業料がすべてまかなわれる場合、都の助成金は0円になります。令和8年度の申請方法は、都が詳細を決めてから案内するとしています。

愛知県は入学納付金を通信制で3万4,000円まで補助

愛知県は、国の就学支援金とは別に、県独自で入学納付金を補助しています。2026年度の通信制の補助額は3万4,000円で、所得制限はなく、県内の私立高校に在籍していれば対象です。

住んでいる都道府県の私学助成の窓口に聞く

大阪府も、授業料の支援補助金の対象校の一覧に通信制高校を載せています。都道府県の補助は対象や金額が年度ごとに変わるため、申し込む前に都道府県の私学担当の窓口で確かめてください。

無利息で借りられる制度

給付で足りない分は、利息のかからない貸付で補う方法があります。返済は卒業後に始まる制度が多いですが、借りたお金は返す必要があります。

自治体の奨学金は私立で月3万5,000円〜5万円まで

都道府県には、高校生向けに無利息で貸す奨学金があります。東京都育英資金は私立の高校で月3万5,000円、神奈川県高等学校奨学金は私立で最大月5万円です。東京都育英資金はサポート校は対象外ですが、提携する通信制高校を通して申し込めると案内しています。

制度 私立の月額 国公立の月額
東京都育英資金 3万5,000円 1万8,000円
神奈川県高等学校奨学金 最大5万円 最大3万円

神奈川県は、通信制の生徒の学年を修得した単位数で判定すると定めています。神奈川県の奨学金の返済は、卒業後6か月を過ぎてからです。東京都育英資金も無利子で、借りた本人が返済する仕組みです。

生活福祉資金は高校で月3.5万円以内

市町村民税が非課税程度の低所得の世帯は、生活福祉資金の教育支援資金を無利息で借りられます。高校の教育支援費は月3.5万円以内で、入学時の費用には就学支度費を50万円以内で借りられます。

窓口は、住んでいる地域の市区町村の社会福祉協議会です。保証人は要りませんが、世帯の中で連帯して借りる人が必要です。

無利息で借りられる自治体の奨学金と生活福祉資金と母子父子寡婦福祉資金の月額と窓口を比べた図

ひとり親家庭は母子父子寡婦福祉資金も使える

ひとり親家庭は、母子父子寡婦福祉資金の修学資金を無利息で借りられます。高校の修学資金は、私立で自宅外から通う場合の限度額が月5万2,500円です。通信制高校が対象になるかは、自治体の窓口で確かめてください。

国の教育ローンは高校の費用にも使える

日本政策金融公庫の「国の教育ローン」は、高校の学費にも使えます。利息がかかるため、給付や無利息の貸付を先に検討しましょう。

子ども1人につき350万円まで、年4.05%

融資の上限は子ども1人につき350万円(自宅外通学などは450万円)で、金利は令和8年7月1日現在で年4.05%の固定金利です。保証機関を使う場合は、別に保証料がかかります。ひとり親の家庭や世帯年収200万円以内の家庭は、0.4%低い金利で借りられます。返済期間は20年以内です。

世帯年収の上限は子ども1人で790万円

国の教育ローンには世帯年収の上限があり、子どもの人数で変わります。子どもが1人なら790万円、2人なら890万円が上限です。

子どもの人数 世帯年収の上限
1人 790万円
2人 890万円
3人 990万円

事業を営む人は、所得で判定します(子ども1人で600万円)。条件にあてはまれば、子どもが2人以内でも990万円(事業を営む人は所得790万円)まで緩和されます。

学費の負担が軽い学校の資料も取り寄せる

今の学校で払い続けるのが難しいときは、授業料以外の費用が少ない学校の資料も取り寄せ、3年間の総額を比べてみましょう。転学できる時期と、取った単位を引き継げるかもあわせて確かめておくと安心です。

費用そのものを下げる方法

支援を受けても払い続けるのが難しいときは、学費そのものを下げる方法を考えます。転学やコースの変更は、取った単位を引き継げるかも確かめて決めましょう。

公立の通信制高校に転学する

公立の通信制高校の授業料は1単位数百円で、多くは就学支援金でまかなえます。東京都は、令和8年度の第二学期の転学・編入学の募集を、通信制の課程も対象にして行いました。公立は住んでいる都道府県の学校が対象なので、地元の公立校の募集時期を調べてみましょう。

公立の通信制高校への転学と登校日数の少ないコースへの変更とサポート校の見直しで学費を下げる3つの方法を示した図

登校日数の少ないコースに変える

私立の通信制高校では、登校日数が多いコースほど授業料以外の費用が高くなる傾向があります。同じ学校の中で、週1日やオンライン中心のコースに変えるだけで、年間の費用が下がることがあります。

サポート校の費用は支援の対象外

学習を手伝うサポート校の費用は、就学支援金の対象になりません。サポート校を併用している場合は、その費用が負担の大きな部分を占めていないか見直してみましょう。

住んでいる地域から通える学校をまとめて比べる

公立と私立のどちらが合うか迷うときは、住んでいる地域から通える学校の資料をまとめて取り寄せると、学費・登校日数・サポートを一度に比べられます。

よくある質問

通信制高校の学費が払えないときに、よく聞かれる点をまとめました。

通信制高校の学費は分割で払える?

学校によります。特別な事情があれば分割納入を認めると学則に定めている学校があります。入学前なら募集要項、在学中なら学校の事務室で確かめましょう。

学費を滞納するとどうなる?

滞納が続くと、除籍や退学になるおそれがあります。正当な理由や手続きがないまま3か月以上滞納し、納める見込みがない場合に、除籍や退学ができると定めている学則もあるため、払えないと分かった時点で相談しましょう。

就学支援金は年収が高いともらえない?

2026年度からは、日本国籍の生徒などは年収にかかわらず受けられます。所得制限がなくなったためです。ただし申請しないと支給されません。

奨学給付金は通信制でももらえる?

所得の要件を満たせば、通信制でももらえます。給付額は、私立の非課税世帯で年5万2,100円、国公立の非課税世帯で年5万500円です。保護者の住む都道府県へ申し込みます。

年度の途中で家計が苦しくなったら?

奨学給付金は、家計が急に変わって対象の世帯になった場合も受けられます。年度の途中でも申し込めるので、都道府県の窓口に相談しましょう。

無利息で借りられる制度はある?

あります。都道府県の奨学金、生活福祉資金の教育支援資金、ひとり親家庭向けの母子父子寡婦福祉資金です。生活福祉資金の窓口は市区町村の社会福祉協議会です。

国の教育ローンは高校でも借りられる?

借りられます。日本政策金融公庫は、高校の学費にも使えると案内しています。利息がかかるため、給付や無利息の制度を先に確かめましょう。

サポート校の費用にも支援は使える?

就学支援金は使えません。サポート校は就学支援金制度の対象ではありません。東京都育英資金もサポート校は対象外としています。

まとめ

通信制高校の学費が払えないときは、まず学校に分割や猶予を相談し、就学支援金を申請しているかを確かめます。そのうえで、授業料以外の費用には奨学給付金、足りない分は都道府県の補助や無利息の貸付を使います。

国の教育ローンは利息がかかるので、給付や無利息の制度を確かめたあとに検討しましょう。払い続けるのが難しいときは、公立への転学やコースの変更で、費用そのものを下げる方法もあります。