通信制高校の就学支援金の支給額(2026年度)
私立通信制の就学支援金は、定額制なら月2万8,100円、単位制なら1単位1万3,668円が上限です。2026年度からは所得制限がなく、世帯の年収に関係なく同じ上限で支援を受けられます。
私立は月2万8,100円、公立は月520円が上限
月ごとに授業料が決まっている定額制の学校では、私立なら月2万8,100円、1年で33万7,200円が支給の上限です。公立の通信制高校は月520円で、年6,240円になります。授業料が上限より安ければ授業料の全額、高ければ上限までが支給されます。
単位制なら1単位1万3,668円まで
履修する単位の数で授業料が決まる単位制の学校では、私立なら1単位あたり1万3,668円、公立なら336円が上限です。1単位の授業料がこの額以下なら、履修した単位の授業料がそのまま支援されます。
年間30単位・通算74単位・48か月の上限がある
単位制の支給には、1年間に30単位まで、在学中の合計で74単位までという上限があります。さらに通信制の支給期間は48か月までです。金額・単位数・期間の3つの上限のどれかを超えた分は、支援の対象になりません。

課程ごとの支給期間と月額の上限は、次のとおりです。通信制は全日制より支給期間が1年長く設定されています。
出典:文部科学省「高等学校等就学支援金・新制度の概要」(令和8年6月16日公表)。定額授業料の場合の金額です。
単位制の支給額を計算する
単位制の学校の自己負担は、1単位の授業料と上限の1万3,668円を比べて計算します。上限を超える分に履修した単位数をかけた額が、授業料の自己負担になります。
1単位の授業料と1万3,668円を比べる
1単位の授業料が1万3,668円以下なら、その単位の授業料は全額が支援されます。上回るなら、差額に単位数をかけた分を家庭が負担します。たとえば1単位1万5,000円の学校で1年に20単位を履修すると、差額1,332円×20単位で、授業料の自己負担は年2万6,640円です。

年間30単位を超えた単位は支援されない
単位制の支給は1年に30単位までです。31単位目からは、1単位の授業料が上限以下でも支援の対象外になります。1年に多くの単位を履修する計画の場合は、30単位を超える分の授業料を見込んでおきましょう。
3年で卒業する場合の単位の配分
卒業に必要な最低74単位を3年で取る場合、1年あたりの単位数は30単位を超えない範囲に収まります。1単位1万2,000円の学校で、3年間に25・25・24単位を履修した例を計算すると次のようになります。
1単位1万2,000円は計算のための仮の授業料です。ちなみに1万3,668円×74単位は101万1,432円で、計算上は定額制の上限3年分(101万1,600円)とほぼ同じ額です。なお定額制は48か月まで支給されるため、4年在学した場合の上限は134万8,800円になります。
公立の通信制高校は授業料がほぼ支援でまかなわれる
公立の通信制高校の上限(月520円・1単位336円)は、公立の授業料に相当する額として決められています。授業料が上限と同じ額なら、授業料の全額が支援の対象です。仮に1年に25単位を履修すると授業料は8,400円で、就学支援金で同じ8,400円が支援される計算です。ただし実際の授業料は都道府県ごとに決まっているため、入学する学校の募集要項で確かめてください。
志望校の1単位の授業料を確かめる
単位制の学校を考えているなら、募集要項や説明会で1単位あたりの授業料と、1年に何単位を履修する予定かを聞いておきましょう。1万3,668円との差額に単位数をかけると、授業料の自己負担がおおよそ分かります。
支給期間は通信制で48か月
通信制高校の就学支援金は、原則として48か月まで支給されます。全日制から移った場合や休学した場合は、残りの支給期間の数え方が変わるので注意が必要です。
48か月を超えて在学すると支給が止まる
支給期間の48か月は4年分にあたります。4年を超えて在学すると、それ以降の授業料は就学支援金の対象になりません。文部科学省のQ&Aでも、通信制課程は原則48月までと説明されています。
全日制から転入したら在学月数の4/3倍を差し引く
全日制の支給期間は36か月で、通信制より短く設定されています。そのため全日制から通信制へ移った場合は、全日制に在学した月数を4/3倍した月数が、通信制の48か月から差し引かれます。
文部科学省のQ&Aの例では、全日制に20か月在学した場合、20か月×4/3=約26.7か月の端数を切り捨てた26か月を差し引き、通信制では22か月分が支給されます。

休学するときは支給停止を申し出る
休学中に授業料がかからない場合は、学校に支給停止を申し出ます。申し出ると、申し出の翌月から復学して再開を申し出た月まで支給が止まり、その期間は支給期間の計算から外れます。
申し出をしなかった場合は、休学中の支給額は0円として扱われたうえで、休学した期間も支給期間に数えられます。その結果、復学後に残る支給期間は短くなってしまうため注意が必要です。

中退して入り直した人は学び直し支援がある
高校を中退してから入り直した人は、卒業までに支給期間を使い切ることがあります。その場合は、都道府県が行う学び直しの支援で、定時制・通信制なら最長24か月、就学支援金の支給期間のあとも授業料の支援を受けられます。2026年度からは所得制限がなく、年33万7,200円が上限です。
申請の流れと時期
就学支援金は、入学後に学校から届く案内に沿って、生徒本人が申請します。申請しないと支給されず、原則として申請した月から支給が始まります。

新入生も在校生も4月に申請する
文部科学省の2026年度の案内では、4月に新入生の受給資格の認定申請と、在校生の受給資格の確認申請が始まり、5〜6月に都道府県が国籍・在留資格などを確認して認定通知を出す流れが示されています。新入生は原則として4月中に申請する必要があります。支給が決まる期間は4月から翌年3月までです。
在校生も受給資格の確認申請がある
すでに受給している在校生は、受給資格の確認の申請を行います。文部科学省のオンライン申請システムには、在校生向けの「在校生受給資格確認」の手続きが用意されています。2年目以降に必要な手続きは、学校から届く案内で確かめましょう。なお2026年度は、e-Shienが4月に一時停止したため、申請が5月以降になっても4月分から受給できるよう弾力的に扱うと文部科学省が案内しました。
オンライン申請はe-Shienで行う
申請は、e-Shienというオンライン申請システムで行えます。学校から配布されたIDとパスワードでログインする仕組みです。2026年度にオンラインで申請できるのは日本国籍の生徒で、学校によっては書類での申請だけを受け付けている場合があります。
e-Shienでの申請のおおまかな流れは、次のとおりです。
- 学校から配られるログインID通知書を受け取る
- 自宅でe-Shienにログインする
- 就学支援金を希望するかどうかを登録する(意向登録)
- 受給資格の認定を申請する
- 都道府県などが審査し、受給資格が認定されると通知が届く
文部科学省は、申請者は生徒本人であり、プライバシーに配慮が必要なため自宅で手続きをするよう案内しています。必要があれば、保護者や信頼できる人に相談しながら進めるとよいでしょう。
日本国籍の生徒は2026年度は国籍確認の書類が原則不要
書類で申請する場合、日本国籍の生徒は国籍を確認できる書類が必要ですが、2026年度は原則として提出不要とされています。2026年度から所得制限がなくなったため、世帯の収入を確認する手続きもありません。日本国籍以外の生徒は、在留資格を確認できる書類を提出します。提出する書類は都道府県によって異なることがあります。
転入・編入したら転入先で申請する
年度の途中で通信制高校に転入・編入した場合も、転入先の学校で申請します。文部科学省の申請書類の案内では、転校した場合も原則として転校した月のうちに申請する必要があるとされています。e-Shienの新規申請は、入学のときだけでなく転入のときにも使う手続きです。申請が遅れると、その月までの分が支給されないおそれがあるため、転入が決まったら早めに学校に申請の時期を確かめましょう。
申請の案内がいつ届くか聞いておく
就学支援金の申請は学校を通して行います。入学や転入を考えている学校に、e-Shienのログイン情報や申請書類がいつ配られるか、締め切りはいつかを事前に確認しておくと、申請の遅れを防げます。
お金の流れと支払いのタイミング
就学支援金は家庭に振り込まれるお金ではなく、学校が生徒の代わりに受け取って授業料に充てます。家庭は、授業料と支援金の差額だけを支払う形です。
学校が受け取り授業料と相殺する
就学支援金は、学校を設置する都道府県や学校法人が受け取り、授業料と相殺します。授業料が上限以下で単位数や期間の上限にも収まっていれば、授業料の請求は0円になります。
先に全額を払って後から返ってくる学校もある
支給が決まるまでの間、授業料をいったん全額徴収し、あとで就学支援金の分を返す学校もあります。返金の時期は学校ごとに違うため、入学前に支払いの流れを確かめておくと安心です。経済的に苦しい家庭は、授業料の徴収を待ってもらえる場合もあると文部科学省は案内しています。
就学支援金の対象にならない人と費用
就学支援金は授業料のための支援で、対象にならない人や費用もあります。すでに高校を卒業した人と、授業料以外の費用は対象外です。
既卒者・科目履修生・聴講生は対象外
高校などをすでに卒業した人は、通信制高校に入り直しても就学支援金を受けられません。科目履修生や聴講生として学ぶ場合も対象外です。
入学金・教材費・サポート校の費用も対象外
入学金や施設設備費、教材費、スクーリングの交通費、サポート校の費用は、就学支援金の対象になりません。授業料以外の費用は、高校生等奨学給付金や都道府県の補助で支えられる場合があります。対象外の費用と都道府県の上乗せは、通信制高校の無償化はどこまでかを解説した記事で詳しく整理しています。
授業料以外の費用も見積もってもらう
就学支援金で減るのは授業料だけです。説明会や個別相談では、入学金・施設設備費・教材費・スクーリングの費用を分けた見積もりをもらい、奨学給付金や都道府県の補助が使えるかもあわせて確認しましょう。
よくある質問
通信制高校の就学支援金について、申請や計算でよく迷う点をまとめました。
通信制高校の就学支援金はいくらもらえる?
私立の定額制なら月2万8,100円、年33万7,200円が上限です。単位制なら1単位1万3,668円が上限で、年間30単位・通算74単位までが対象です。実際の支給額は、授業料が上限より安ければ授業料と同じ額になります。
在校生も手続きが必要?
必要です。2026年度は、新入生の認定申請と同じ4月に、在校生の受給資格の確認申請が始まりました。学校から案内が届いたら、期日までに手続きをしましょう。
所得の証明書は必要?
2026年度からは所得制限がなくなったため、世帯の収入を確認する書類は求められていません。日本国籍の生徒は、国籍を確認する書類も2026年度は原則不要です。都道府県や学校によって案内が異なる場合は、その指示に従ってください。
4年で卒業できなかったらどうなる?
支給期間の48か月を過ぎると、就学支援金は支給されません。48か月を超えた分の授業料は、原則として自己負担になります。中退して入り直した人は、学び直しの支援で最長24か月の支援を受けられる場合があります。
入学した月にさかのぼって支給される?
原則として、申請した月から支給が始まります。提出が遅れそうな場合や遅れてしまった場合は、すぐに学校や都道府県に相談してください。
奨学給付金や奨学金と一緒に受けられる?
原則として受けられます。就学支援金は授業料の支援、高校生等奨学給付金は授業料以外の教育費の支援で、別の制度です。民間団体の奨学金には併用を認めないものもあるため、募集要項で確かめましょう。
給付金や無利息の奨学金、生活福祉資金などの金額と窓口は、学費が払えないときに使える制度の記事でまとめています。
2027年度も同じ金額?
文部科学省の令和9年度(2027年度)概算要求でも、私立通信制の上限は33万7,200円のまま示されています。ただし、新制度は施行後3年以内に検証を行い、必要な見直しをするとされているため、入学する年度の金額は必ず最新の案内で確かめてください。
単位制の学校で単位を落としたら?
支給の上限は、年間30単位・通算74単位と決まっています。履修し直した単位の数え方は、文部科学省の公開資料には書かれていません。履修計画を立てるときに、支援の対象になる単位数を学校に確認しておくと確実です。
まとめ
通信制高校の就学支援金は、私立の定額制なら月2万8,100円、単位制なら1単位1万3,668円が上限で、年間30単位・通算74単位・48か月の範囲で支給されます。全日制から移った場合は在学月数の4/3倍が差し引かれ、休学中に授業料がかからないなら支給停止を申し出ると支給期間が減りません。
支給は申請した月から始まるため、入学や転入のあとは学校の案内に沿ってすぐに申請しましょう。学費の総額は通信制高校の学費の記事で、授業料以外の費用と都道府県の上乗せは無償化の記事で確認できます。